好きになった瞬間の切り取り方|村神千紘

私、村神千紘が日常見かけたなにげない風景や流れてゆく時間の中で感じたこと、手の届く物、届かない物でも興味を惹かれたものについて、現在進行、あるいは少し昔を振り返ったりしながら書いていきたいと思います。

フィリップ・K・ディックは、ブレードランナー2049の夢を見るか?

第3日目は、好きなSF小説について書いていきたいと思います。

SF小説との出会いは、小学校の図書館のジュニアシリーズ?のSF小説。内容は綺麗さっぱり忘れていますが、一つだけ覚えているシーンがあります。

主人公が敵から逃げているシーンですが、主人公は巨大な構造物の凹みのようなところに身を隠して追っ手を見ているのです。隠れている凹みは地上より高いところにあって、視界に4本の長い脚の上に短い胴と頭が載った巨大なロボットが何台も追ってくる、というシーンです。

そのロボットは、それから何年も経って見たスターウォーズに映像化されて出てきました。

読書傾向はその後、児童文学→少年探偵団→文学→推理小説と変遷してしまし、レイ・ブラッドベリを読んだくらいで、長い期間SF小説から離れていました。

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80年代初頭、映画『ブレードランナー』が公開され、その原作者だったことから、フィリップ・K・ディックを読み始めました。すでにディックは亡くなっていました。

ハヤカワ文庫では、『火星のタイムスリップ』『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』『ユービック』『高い城の男』。サンリオSF文庫の『時は乱れて』『ヴァリス』『聖なる進入』などなど。ソノラマ文庫からも短編集が出ていました。ちくま文庫新潮文庫が短編集を発売するのは、もっと後になってからでした。

サンリオSF文庫はカバーイラストがどれもシュールで、『ヴァリス』はもちろん、書店の平台に並べられていた『暗闇のスキャナー』や『最後から二番目の真実』など、藤野一友氏、中西信行氏によるカバーイラストがなぜか強く印象に残っています。

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サンリオSF文庫は、ディックの作品を中心に購入していましたが、1987年の8月、夏休みの旅行先の札幌の書店で新刊『アルベマス』を手にしたところ、それがサンリオSF文庫の最終刊と知り、愕然とした記憶があります。

旅行から戻って、リブロとパルコブックセンター、八重洲ブックセンターをはしごして、未購入だったディックの作品を買い集めた記憶があります。いまでも、ディック作品は全巻書棚に大切に並べてあります。

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ノンフィクションは、ペヨトル工房から、評論としてはサンリオや北宋社青土社から複数出されています。ほとんど所有していますが。

映画化された作品は、『ブレードランナー』のほかに『トータル・リコール』『マイノリティー・リポート』などありますが、『高い城の男』も映像化されていて、現在Amazon Fire TVならプライムで見ることができます。

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ブレードランナー2049』の公開が、10月27日に迫っています。オリジナルの『ブレードランナー』で描かれた、実存主義的な問いかけをレプリカントにさせたあの世界観は、30年後の世界でどのように変貌しているでしょうか?

他の作家では、ジョージ・オーウェル(1984年)、J.G.バラード、レイ・ブラッドベリ、カートヴォネガットJrなどでしょうか。

J.G.バラードは創元推理文庫から出ていた破滅三部作(『沈んだ世界』『燃える世界』『結晶世界』、)。『クラッシュ』。ストーリーに共通点はないはずなのですが、9.11で貿易センタービルが崩壊していく映像を眼前に、なぜか『ハイーライズ』がずっと頭に浮かんでいました。

SF小説の中に良く描かれた、空飛ぶ自動車や宇宙旅行はまだまだ現実とはなっていませんが、また最近は人類の先行きについて不安にさせる状況が世界中に広がっていますが、まだ、なんとかディックが描いたような荒廃した世界にはならず、踏み止まっているようです。そうならないように、人類の叡智に期待したいと思います。

 

 

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